ポリイミドの基礎知識|
どのように使われているかを解説

2021/12/17

<目次>
●ポリイミドの基礎知識
●ポリイミドの特性
●ポリイミドの用途
●東レのポリイミド関連製品

ポリイミドの基礎知識

ポリイミド(Polyimide:PIと略)は分子鎖内にイミド環結合(図1)を含む高分子化合物です。このRが芳香族となる芳香族ポリイミドが工業的に多く利用されています。

図1:

ポリイミドは-196℃から300℃の温度範囲で物性変化が少なく、耐熱性、機械特性、電気絶縁性、耐薬品性等に優れているため、航空宇宙から自動車、民生機器まで広く使用されています。

ポリイミドは図2のように合成されます。まずジアミンとカルボン酸無水物から有機溶媒への可溶性の高いポリアミック酸(ポリアミド酸)を生成します。このポリアミック酸を高温加熱によりイミド化(脱水・環化)させることでポリイミドが得られます。

図2:

ポリイミドの種類は大きく「熱硬化型」と「熱可塑型」に分かれます。
熱硬化性ポリイミドは軟化温度(ガラス転移温度:Tg)が高く、コーティング用途やフィルム基材に使用されています。熱可塑性ポリイミドはTgが200~300℃です。加熱成形が可能で各種装置の部品に使用されています。

ポリイミドの特性

ポリイミドには下記のような優れた性質があります。

  • ①耐熱性能が高く、高温での引張り強さは非常に高強度です。
  • ②電気特性(誘電率、体積固有抵抗等)は極低温から高温までほとんど変化がありません。
  • ③耐熱温度は450℃以上とされ、非常に高い耐熱性を有しています。
  • ④熱膨張率が小さいため熱収縮率も低く、高い寸法安定性を備えています。
  • ⑤高い熱伝導率を有しています。
  • ⑥難燃性に優れており他の高分子樹脂(ポリエステル等)に比較し燃えにくいです。
  • ⑦ほとんどの有機溶剤に溶解せず、高温でも高い耐化学薬品性を示します。

ポリイミドの用途

ポリイミドは、その特性を活かして様々な用途に使用されています。

電子機器には、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits: FPC)としてスマートフォンから自動車まで幅広く利用されています。また、モーターコイルや電線、半導体素子の絶縁保護膜にも用いられています。

ディスプレイにおいては、液晶ディスプレイの液晶分子を特定方向に並べる配向膜や有機ELディスプレイの画素分離膜にポリイミドが使用されています。

切削加工用素材としても、機械強度や寸法安定性、耐摩耗性、低アウトガス性を活かして、ポリイミド樹脂は半導体製造装置や自動車機構部品などに使用されています。

さらに航空宇宙分野では高い耐熱性、電気絶縁性により、人工衛星等の重要な機器を覆う絶縁保護フィルムとして使用されています。

東レのポリイミド関連製品

東レは1970年に耐熱絶縁ワニス トレニース™を上市後、半導体素子の保護膜・絶縁膜用途に非感光性ポリイミドワニス セミコファイン™を1979年に、感光性ポリイミドワニス フォトニース™を1985年に上市しました。現在、ワニスタイプとシートタイプ(ファルダ™)、非感光性タイプと感光性タイプという幅広い製品グレードを取り揃えており、半導体や電子部品、実装分野において各種製品をご採用いただいています。
また、ファインパターン加工技術による狭ピッチフレキシブル回路基板も各種ディスプレイにご採用いただいています。
主な用途について、ご紹介します。

バッファーコーティング:セミコファイン™、フォトニース™
半導体素子を基板に実装するときにモールド樹脂と半導体チップの熱膨張率の差により生じる割れや配線ズレを防ぐために、柔軟で耐熱性があり樹脂との密着性にも優れたポリイミドが使われています。
再配線層:セミコファイン™、フォトニース™
半導体パッケージの小型化、高集積化では微細加工が可能で機械特性に優れた絶縁材料が必要です。特にFO-WLPではパッケージ封止樹脂や銅との密着性や低温硬化が求められます。
中空構造材:ファルダ™
スマートフォンや自動車向けに搭載が進んでいるMEMSセンサ―やRFデバイスなど中空構造を持つ電子部品が増えています。機械特性に優れたポリイミドは中空構造材に使われており、特に弾性率の高いポリイミドBステージフィルムは中空構造の形成に適しています。
フレキシブル回路基板:片面COF、両面COF
ディスプレイの高精細化に伴い、COF(Chip on Film)技術によりドライバICなどを実装したフレキシブル回路基板には配線パターンの微細化が求められています。また、フィルムの両面に回路形成することで回路集積度を高め、基板の小型化も可能になります。

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